11 / 12

- 拾壱 -

 この男は浅治郎にこのまま首を締め上げられながら、見つめられて死に逝くのか。  浅治郎の悦に浸った顔を見られるのは嬉しい。けれども自分以外の男に快楽を感じられるのは以ての外だ。浅治郎は自分の物ではないと言われているような気がして歯がゆさを感じた。  しかし浅治郎は次の瞬間、若侍の首から手を離した。  若侍は背を向け、悲鳴を上げながら助けを求めて走り出す。しかしそれも束の間。鞘から引き抜いた刀は彼の血液を一身に浴びる。  後に残るのは地面に転がった冷たい屍のみ。  浅治郎の嘲る笑い声が冷ややかな空気を伝って振動する。  あの見ず知らずの何の面識も持たない男が、自分が惚れた相手をこうまで愉しませているのだと思うとたまらない。  我慢できなくなった弥兵衛は余韻に浸っている美しい浅治郎を引き寄せると、その唇に吸い付いた。  下肢にそっと手を伸ばせば、つい先刻に刻みつけた弥兵衛の白濁が太腿を伝い、一筋の線を作って流れていくのが見える。

ともだちにシェアしよう!