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第33話

結果的に、ハンバーグは上手くいった。しかし、今回横井先生はあまり料理に参加はせず、俺たち三人で作ったようなものだった。 横井先生には、味見兼材料計り係をやってもらったお陰で、今日こそ横井先生は怪我をしなかった。これには、樹も那智もホッとしていたようだった。 無事に、鹿山先輩に渡しに行くことができたらしく、横井先生はご機嫌そうに鼻歌を歌っていた。 俺はというと、鹿山先輩に自分の想いを気付かされてから落ち着かず、包丁で指の先を切ってしまい、不本意なことに横井先生に心配されてしまった。今も指先がジクジクと痛む。血が滲んだ絆創膏がその痛さを物語っている。 落ち着かないまま部活動が終わり、校門を出ようとするとグラウンドから見知った声が聞こえてきた。 「ナイスっ!!!」 ふと、振り向くとグラウンドでサッカーの練習をしている風早の姿があった。そういえば、サッカー部の人数が足りなくて臨時でサッカーをしていると聞いた。聞いたことはあったが、見るのは初めてだった。 俺自身運動はすこぶる苦手なので、できる人は尊敬する。グラウンドで走り回っている風早は息を切らすことなく、相手からボールを巧みに奪い、敵のコートへとシュートを決めていた。おお、と声を漏らし無意識のうちに拍手までしてしまっていた。 少し気になって、グラウンドに近寄ってみる。風早は俺に気づくことはなく、颯爽とシュートを決めている。むしろ、気づいてくれなくてよかった。今こちらを向かれたらどんな顔をしていいかわからない。 ふと、鹿山先輩の言葉が頭によぎって、思わず顔を赤くした。 ”ほんとは好きだろ?” 最後までは言えなかったが、樹が帰ってこなければ俺は深く頷いていたに違いない。現に、今だって風早がサッカーをしている姿を見て心がこんなにドキドキしている。 もう少しで練習が終わるかもしれない、と俺は風早を待つことにして近くのベンチに腰掛けた。 「幸・・・?」 気づいたら眠ってしまっていたらしい、うっすらと目を開けるとそこには海の姿があった。 「海?」

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