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第51話

ガラララ・・・、と小さな音を立てて扉が開く。 中は薄暗く、寝息らしきすぅすぅという音も聞こえて来た。俺は周りを確認してからそっと病室に入って扉を閉める。 風早の病室は一人部屋らしく、薄暗い中で目を凝らすとベットが一つだけ見えた。 ゆっくりベットの側に寄ると、風早の端正な横顔が月の光に反射して揺らめくように光っているのがわかる。 風早だ、俺は小さくそう呟いた。 頭に巻かれた包帯が痛々しい。俺はベットの側の椅子に腰掛けると、カバンを床に置いた。 「誰・・・?」 うるさいくらいの沈黙が突然破られた。 でもそれは俺が、じゃない。 「ご、ごめん・・・起こして」 慌てて謝ると、風早はこちらを向いて驚いたのか目を見開いた。 「え、幸・・・?」 起き上がろうとする風早を止めて、寝かせると風早は俺の腕をむんずと掴んできた。 「ほんとに、幸?俺の夢じゃないの?」 風早は、少し悲しそうな顔をして言う。 「俺、最近幸の夢ばっかり見るんだよ、醒めるのが怖いんだ・・・」 俺はすぐに風早のほっぺを摘んでやった。痛い、と顔を顰める風早に俺は笑みを浮かべる。 「痛いんだから夢じゃねぇよ」 風早もたちまち笑顔になったが、すぐに眉が下がって下を向いてしまった。 「ごめん、幸・・・。俺あんなこと言うつもりじゃなかった、ごめん・・・」 俺の腕を掴む風早の手が震えている。 俺のせいなのに、どうしてお前が謝るんだ。 「俺の方こそ、ごめん・・・。海のことはほんとに誤解で、・・・ごめん」 「何にも、されてない?」 ふいに腕を強く掴まれる。風早が顔をあげてこちらを見ていた。 「あ、えっと・・・キスされて、その・・・」 乳首をいじられたなんて言えなくて、口ごもっていると風早がまた起き上がろうとした。 「お前、ほんとに怪我してるならじっとして・・・んっ」 風早の肩に手を乗せて、無理やりベッドに沈めると久しぶりの感触が唇を掠める。柔らかい唇、風早の唇。 「んっ、はっ・・・ちょっ、」 頭より先に体が安心する。思わず目を瞑ってしまって、流されてはいけないと風早から離れた。 「俺・・・風早に言わないといけないことがあるから・・・」 風早はその言葉にどう思ったのか、ゆっくりと横に首を振る。 「・・・聞きたくない、いやだ」 「なんでだよ、俺ずっと悩んで、」 「幸の口からはっきり拒絶されたら俺もう終わっちゃうよ・・・」 風早の言葉に俺は思わずかっとなった。 あれだけ散々悩んで出した答えなのに、どうして決めつけてしまうのか。俺が風早のことをふるなんて。 「いいから聞いて」 風早が息をのむ音が聞こえる。俺も心臓の音がうるさい。 「俺は・・・風早が、好き・・・」

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