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第53話

「んっ、ぁっ、ふっ・・・」 「幸可愛い・・・、大好き」 風早の舌が耳を掠めるのがくすぐったい。身じろぎをすると、風早が耳元で笑った。 「大体こんなとこで・・・、しかも怪我は・・・」 「病室でのえっちって燃えない?怪我は大丈夫だよ、俺頑丈だし」 「燃えね・・・ぁっ、ちょっとほんとにっ」 俺にベッドの上に座るよう命令した風早は楽しそうに鼻歌を歌い出した。 「~♪さっちのかっわいいち、く、び~」 するり、と慣れた手つきで俺のシャツに風早が手を入れる。熱を持った熱い手。懐かしい手だ。 「お、おいっ、ちょ・・・」 お目当てのものを見つけたのか、風早の手がある位置で止まる。 「幸・・・、付けてないの?」 「な、何を・・・」 「絆創膏・・・」 急いで出てきたからっていうのも理由の一つだ。 でも、それ以上に。 「か、風早と、し、したかったから・・・」 俺の言葉に黙ったままの風早は、また間抜けにも口をぽかんと開けたままだ。 「幸が、俺としたかったから、絆創膏を、貼ってない?」 「・・・そうだよ、何回も言わせんなっ。恥ずかしい・・・」 ぷいと顔を背けると、風早が俺の頬をむにっと掴んできた。痛い、と抗議しても離してはくれない。 「もうどんだけ幸は俺を惚れさせたら気が済むの?」 「え、ほ、惚れ・・・」 風早のためにしたこと、まだ一つ残っている。それを言おうか言わまいか、迷っていると風早が何かを察したのかこちらを見つめてくる。 「どうしたの、幸」 「え、い、いや・・・」 風早の太ももに座らされて、手を握られる恥ずかしいこの状況で流石にお尻を弄ったとは言えず俺は口を閉じる。 「何、気になる」 「ゃ、さ、触ったらわかる、から・・・」 恥ずかしさのあまり、声がどんどん萎んでいく。俺は言うよりも行動で示したほうが早いと、風早の手をお尻に置いた。 「・・・さ、幸、俺・・・ 」 聞いたことのないような風早の慌てた声に、ぱつと顔を上げると風早は顔を真っ赤にさせて、鼻血をたらりと流していた。 「え、きたなっ」 「幸のせいだし!酷くない!?」

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