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第58話
朝だ。
昨晩は早めに寝たおかげで目覚めがさっぱりしている。
俺は腕を伸ばしてカーテンを開いた。綺麗な青空だ。そういえば、天気予報で明日は晴れると昨日言っていた気がする。
俺は一つ大きなあくびと伸びをして起き上がった。
用意しておいた服に着替えて、階段を降りる。リビングにはすでに姉ちゃんがいた。
「さっちゃん早いね、おはよ」
「お、おうおはよう」
風早とデートに行くことは姉ちゃんも知っている。というか、風早が毎朝カウントダウンをしにくるものだからバレてしまったのだ。
「ついに今日でしょ?デートの日。よかったじゃん、今日ずっと晴れだって」
テレビを見ながら姉ちゃんが言った。
「お、おう・・・」
「何あんた緊張してんの?」
「き、緊張というか・・・」
はっきり言って緊張ではない気がする。風早と出掛けることが初めてな訳ではないのだ。
そう、ただ単に俺は照れているだけなのだ。
デートという単語に。
「恥ずかしいんだ???」
流石姉ちゃん、というか鋭い。俺はもう否定もせずに、俺も朝食を食べてソファに座る。
「もぉ〜、可愛いんだからっ」
「・・・うるさい」
なんて言い合いをしながら朝を過ごしていると、九時ぴったりにチャイムが鳴った。
「ほら、来たんじゃない?さっちゃんのダーリン様」
明日九時に迎えに行くからね、と風早からメールは来ていたがぴったりに来るとは思わなかった。
「すごいね、九時ぴったりじゃん。愛されてるねぇ」
茶化してくる姉ちゃんを軽くあしらって、俺はすぐさま玄関のドアを開けた。
「あ、幸おはよ」
「お、おはよう・・・」
なんだか恥ずかしくてまともに風早の顔が見れない。
うつむいていると、グイッと顎を上に向かされた。
ちゅっ
「ほら、おはようのキス」
耳を塞ぎたくなるような恥ずかしいリップ音。俺は思わず後ずさりしてドアを閉めようとする。
「ちょっとっ、閉めないでよっ!!俺たちのデートこれからでしょっ」
「外で変なことするなよっ!びっくりするだろっ」
「びっくりしただけ?嬉しくない??」
「う、うるさい黙れっ!!」
こうして俺たちのデート(?)は幕を開けたのだった。
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