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第73話

くす、と笑った風早がやっとリングをすっと抜き取った。瞬間、溜まっていた何かが溢れ出すような感覚に陥る。 「あ、やだ、やっぱだめっ」 「そんなのもう知らないよ」 風早が俺の手を取って風早の背中に回す。 「辛かったら俺にしがみついてていいからね」 尻の穴に風早のそれをあてがわれて、俺は咄嗟に風早の背中を掴んだ。ガリ、と肉を抉る感触があったが、そんなこと気にしていられないくらい俺の頭はぐちゃぐちゃだった。 「ぃっ・・・」 痛みからか、風早が顔をしかめたが俺の手を背中から引き剥がそうとはしない。はっ、と荒い息を吐いた風早はそのままゆっくりと腰を進めた。 「ぁっ、ぅ・・・」 汗が額から流れ出す。すごい圧迫感。いつまで経ってもこの瞬間だけは慣れない。目をつむると、まぶたにそっと口づけをされた。 「もうちょっと・・・だからっ・・・」 風早が俺の頭を優しく撫でてくれる。先端の一番太いところを通過したのか、風早の下生えが尻に当たるのを感じた。 「ほら、入ったよっ」 にこり、と笑みを浮かべた風早が頑張ったねと俺の頭を撫でる。俺は風早にしがみついたままで揺さぶられながらあられもない声を漏らした。 「ぁっ、やっ、もだめっ」 先ほどまでせき止められていたせいか、ダラダラと先から壊れたように流れ出す白濁が俺の腹を汚す。 浅く抽挿を繰り返して、唇を合わせる。時節酸素が足りなくて、ぷはっと声を上げると風早に笑われた。お返しに下唇を噛んでやると強く打ち付けられる。 「あぁっ、いじっわるっ」 思わず風早の背中から手を離すと、風早が恋人つなぎみたいに手を掴んできた。どちらの手も汗ばんでいてぬるぬるする。 「幸のせいだよ、ごめんね・・・っ」 風早も息が荒くなっている。それが俺のせいだと少し嬉しくなって、俺も風早の手を積極的に絡める。 「ゆ、るさな・・・っ」 うそ、うそ、許す。心の中でそう呟いているのなんて、一瞬で風早にバレてしまいそうだ。だ って、こんなに一緒になってぐちゃぐちゃに・・・。 「幸、幸、好きだよ」 優しい瞳でそう呟いている風早を見るだけで、また涙が溢れてくる。 好きだ、っていう感情で心の中が埋め尽くされてそれ以外何も考えられなくなる。もうちょっとでテストがあるとか、俺たちの関係が樹にバレてしまっているかもしれない、とか。 「お・・・れも・・・っ」 友達が口々に彼女が欲しいとぼやいていた意味がようやくわかった。だって、恋人がいるってこんなに・・・。 「俺、今最上級に幸せだよ・・・」 風早も目の縁に涙を浮かべてそう言った。考えていることが一緒だ。俺が笑うと、風早がむくれてしまった。 「俺もだよ」 勢いで言っちゃったけど、恥ずかしくてすぐ風早の口を塞ぐ。舌が深くまで入ってきて、俺も目をつむって委ねる。 あぁ、この時がずっと続けばいいのに。

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