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第75話

次の日から誰かが後をつけているような気配が続いた。しかもそれは一人でいる時だけ。風早といる時は何も感じない。 俺も次第に怖くなって、帰る時は風早の用事が終わるまで待った。 サッカーはあの事件以来助っ人として活動していないらしいが、最近はバスケの助っ人としても活動しているらしい。 今日も風早を待つついでに図書室で今度行われるテスト勉強をする。教科書を開いて、ノートをまとめて課題を終わらせていく。 そうして一時間程過ぎた頃にガラガラと図書室の扉が開いた。 「あ、幸お待たせ〜」 体操着のまま現れた風早は、着替えとたくさんの教科書を両手でいっぱいになって持っている。きっと練習が終わったあと急いで来てくれたに違いない。 俺の最近の変化に風早も何か感じているらしい。 「お疲れ・・・」 俺もすぐ風早の元へ駆け寄って、鞄やら教科書を受け取る。この図書室は人が滅多にこないので、隠れることなく風早もすぐ着替え始めた。 「今日すごかったんだよ、俺。四回もダンク決めたの」 「へぇ・・・、そりゃすごいな」 「ほんとに思ってる??テスト終わったらまた練習見に来てよ」 テストは二週間後だ。一週間前になると部活練習がなくなるみたいだが、ギリギリまで風早は参加するつもりらしい。 なんでも、バスケ部の主将がサッカー部主将と仲がいいらしく、この間サッカー部の試合を台無しにしてしまったことを気にしている風早はバスケ部にも貢献もしなきゃね、とこの間言っていた。 「期末テストなんだからお前もちゃんと勉強やれよ、夏休み補習だらけになってもしらねぇぞ」 「そこは大丈夫、だって幸が教えてくれるでしょ?」 なんて言いつつ、風早は勉強ができる。 授業中当てられてもスラスラと答えるし、宿題も必ず完璧にこないしている。 こいつの欠点なんて、 「はい、ただいまのちゅー」 キス魔のエロエロ大魔神ってとこだけだ。 俺は風早の顔を押しのけて、風早の鞄に教科書を詰めていく。自分の教科書も片付けて、図書室の鍵を手に取った。 人がこないこの図書室は、使う人が鍵を取りに行くシステムになっている。借りる作業を行うのもセルフで図書室の先生はいつもサボっているかのように、職員室でコーヒーを飲んでいるのだ。 「ほら、出るぞ」 着替え終わった風早の腕を掴んで廊下に出る。ひんやりとした空気が気持ちいい。今は夕方の六時、廊下の窓が夕焼けのせいでオレンジに輝いた。 眼下ではまだサッカー部が練習を続けている。 走っているのは海でよく見ればグラウンドの端で樹が座っていた。 「やっぱりあの二人付き合ってるのかな」 俺と同じく海と樹を見ていたのか、風早が窓に乗り出して言った。開かれた窓からは三階のせいか、少し冷たい風が俺のほおを撫でる。 「どうだろうな・・・」 正直言って超気になる。だってあの海が、海だぞ。気にならないわけないじゃないか。 心の中ではもやもやしているが、それを風早に悟られないようにあくまであまり興味のないふりをしておく。 「でも練習終わるまで待つもんなの?」 「・・・さぁ」 「男二人で水族館だよ?」 「・・・まぁ、な」 「俺らと同じことしてるじゃん」 「・・・そう、かもな」 「じゃぁ付き合ってるんじゃない?」

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