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第96話

「へ、?」 風早が真正面から俺を見つめている。瞳の奥にある何かが揺らいでいる。きっちり整えられた睫毛に、少し垂れ目の瞳。いいの?と風早が目で訴えているのがわかったから俺は小さく頷いた。 大きな音が鳴るくらいきつく首筋を吸い上げられてまたキスマークが増えた。布越しに乳首を引っかかれる。布越しで、絆創膏越しとはいえ気持ちいものは気持ちがいい。 「ひっ・・・あっ・・・」 甘い声が口から勝手に流れ出る。ん、と口を閉じても気づいたら口が開いていて恥ずかしい声が溢れ出ている。 どうしても服を脱がそうとはしない。痺れを切らして俺が脱ごうとすると止められた。 「折角かわいい服着てるんだから着衣セックス、しよ?」 「えっあ、ちょっ」 「でも幸は乳首直接触ってほしいんだもんね、しょうがないなぁ」 ボタンを外しながら風早が言った。絆創膏の貼られた乳首の部分だけはだけさせられる。絆創膏の中で乳首がピクピク動いていて、触られるのを期待している。人差し指の腹でそっと撫でられた。 「ああぁっ」 一際大きな声が出て、俺はすぐさま口を手で塞ぐ。今更でしょ、と風早が笑ってけれどやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。 絆創膏のガーゼの部分が立ち上がった乳首のせいで膨らんでいる。隙間から指が入ってしまう、俺は次に襲い掛かる快感に備えて唇を噛んだ。 「噛まないで、喘いでよ」 唇を撫でられて、んっと口を開いたところを狙って絆創膏の隙間に指を差し入れられた。電撃のような快感が走って、また大きな声が出た。思わず風早の指を噛みそうになる。 「もっ、ちょっぁっ・・・」 「幸女の子の恰好してるから貧乳の女の子みたいだね。乳首だってこんなに大きくなっちゃてるし」 風早のくれる刺激を焦がれてぷっくりと膨れた乳首は俺よりも正直だ。俺の言えないことを語ってくれる。 「・・・お前のせいだろ」 「うん、そうだねぇ」 ニマニマとしている風早が少し気持ち悪くて、思わず彼の耳を引っ張る。痛いよ、と苦笑した彼は絆創膏をゆっくりと外していく。外気に晒されて身震いした。酸化だ酸化、と喉の奥で笑うけど酸化だけで気持ちいいのは絶対おかしい。 「はぁっ、んっ」 反対側の絆創膏も簡単に剥がされて、俺はまた身をよじった。目の淵に涙が溜まり、視界がぼやける。 「幸はすぐ泣くね、かわいい」 よしよし、と頭を撫でられた。そのまま涙を拭きとられて、風早が舐める。 「汚いから・・・」と言えば、「おいしいよ」とにっこり笑われた。 相変わらず変な奴だ。

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