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第97話

俺の涙を拭きとった指が今度は太ももをなぞった。ワンピースがひらりと捲れ上がり、太ももが露になる。ワンピースから覗く足はまるで女のようだ。風早の息を呑む音が聞こえてきて、俺までドキドキしてきた。心臓が出そうだ。 「きれいな足・・・」 つんざくような視線が痛くて、足を隠そうとワンピースの裾を引っ張った。ひざ下まで引っ張ると、不満そうに風早が唇を尖らせる。だけど、風早の手が次はワンピースを捲るためじゃなく俺の下着をずらすのを目的に伸ばしてきた手を俺は拒まなかった。もどかしかったのだ。 「もうびちょびちょだ、えっち」 濡れそぼった先端をくちゅくちゅといやらしい音を立てながら扱かれる。快感に思わず腰を引いてしまうが、いつものごとく腰を抱かれて逃げられない。 「あっ、あっ、もだめ、すぐ出ちゃっ」 バシバシと風早の肩を叩いて訴えるが、風早は扱く手をやめてくれない。扱くだけじゃなく、ぱくりと乳首を咥えられて俺は悲鳴じみた声をあげた。 「ひあぁぁぁっ」 こりこりと唇で食まれてすぐにイってしまう。ワンピースに絶対ついてしまった、と怪訝な顔をしていると風早が笑って「洗うから平気だよ」と言う。そういう問題じゃないのだ。 イった余韻で頭が少しぽわぽわしている。風早の手は俺の股間から離れ、次の場所を刺激しようと蠢いている。やがて風早の指がゆっくり挿入された。何回してもこの感覚は慣れない。ぞわぞわと鳥肌が立って、俺は思わず風早に抱きついた。 それでも一本くらいならすんなり入るようになってしまった。滑走油の代わりに俺の精液を使っているのだろうが、もはやなくても入ってしまうんじゃないかっていうくらい難なく飲み込んでしまっている。そんな自分に少し驚いている。 「何考えてるの、ねぇ」 風早にそう問われて俺は答えられなかった。なんでわざわざ俺の尻事情を伝えなきゃいけないんだ。 無口でいる俺にむっとしたのだろう。根本までずっぽりと風早が力任せに指を入れた。 「いあっ・・・こらっ」 難なく飲み込むとはいえ、痛みが全くない訳じゃない。落ち着かせるために意識して息を吐く。息を吐くとすこし楽になる。中に入っていない方の指でやわやわと陰嚢を刺激されて、一度萎えかけたそれがまた勃ち上がり始めた。 少しずつ増えていく指に任せて俺はもう声が出るまま喘いだ。時節溺れるようにキスに応える。何だか自分たちが性欲丸出しのチンパンジーに思えてきてちょっと笑ってしまった。 気づけば、着ていたワンピースはどんな服だったかわからないくらいぐちゃぐちゃに捲れ上がり、服を着ている意味がないほどになっている。何度イかされたか把握できないほどで、俺は疲れてはぁはぁと息を上がらせた。 「そろそろ入れていい?」 ちらりと見れば、もう風早の指を四本も咥えこんでいる。はじめの違和感が無になるまで風早はいつも入れようとする。そこまですると俺も疲れるんだけどなぁ、なんて思いながら俺はこくりと頷いた。

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