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第99話

つぅーと冷や汗がこめかみから流れる。何もしていないのに勝手に快感を拾ってしまう。 「あっ、ほんと、むり、ねぇむり、あ、動かないでぅあっ」 「うご、いてないよ・・・勝手に幸が動いてるんでしょ・・・ぁっ」 「いやぁっ、ぁぁっ、だめって、だめ、うぅぁっ、奥当たるっ」 「ちょ、幸、締めないで、ほんと、」 「俺なんもしてないぃっ、や、やだ、っ」 「や、ば、待って、幸待って、俺出るからっ」 喋るだけで振動が腸に伝わって快感になる。滝のように俺のちんこから汁が流れてシーツを濡らす。何も制御できなくなって俺は跳ねる魚のようにピクピクと動く。瞼の裏が光るみたいにチカチカして焦点定まらない。そんな俺の様子に風早も流石にやばいと思ったのか、抜こうと腰を引いた。 「ごめ、すぐ抜くから待って・・・」 だが、ずぽんと入り込んだそれはいくら引っ張っても抜けないらしい。風早のこめかみから流れた汗が俺の額にぽたりと落ちた。 俺は俺で何もしてなくても快感を拾うし、風早も風早でギュゥって締め付けられるらしく苦しそうに呻いている。 カオスだ、カオス過ぎる。ボロボロと勝手に流れる涙が口に入って塩っぱい。 抜くことを諦めたのか、風早が腰を引くのをやめた。俺の上に覆い被さるように力を抜いた風早は重い。 「おも、い・・・ぅ、っぁ」 「ちょっと、待って・・・すぐ抜くから」 汗に濡れた髪を撫でられる。刹那、ドクドクと中が暖かくなった気がして、俺はまた小さく喘いだ。 「ひぃっぁっ・・・」 風早が達したのを感じて俺はすぅ、と気が遠くなった。 目が覚めた。体は怠く、重い。けれど昨夜あんなに汗や色んなものでベタベタした体がすっきりとしている。目をこすって瞼を開けば、見知らぬ天井が見えた。 ここ、どこだっけ・・・。 ゆっくりと時間をかけて起き上がると床に誰かが土下座しているのが見えた。 「・・・」 グレーのトレーナーに黒のズボン。数十秒かけて、風早だと気づく。 何やってんだ、こいつ。 「すみませんでした・・・」 消え入るような声でそういった風早は土下座のまま動かない。どうして謝っているのかわからなくて、俺はぼーっとした頭で考える。 それでも分からなくて、「何が?」と呟くとまた消え入るような声で「昨日やりすぎたから」と答えた。 あぁ、なるほど。と納得して俺は何だかおかしくて笑ってしまう。 その声に不満そうに顔を上げた風早は「どうして笑うの・・・」と言った。 「・・・別に」 昨夜の記憶が曖昧だ。びっくりするくらい気持ちよくてびっくりした。ということと、苦しそうに呻く風早しかはっきりと覚えていない。 苦しそうに呻く風早はちょっぴり可愛かったというか、焦ってる風早がちょっぴり新鮮だったというか。 でもそんなこと言うときっと風早は調子にのるから黙っておくことにする。

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