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それはまるで夢のような 2
店の裏口から出て表通りに回り、キョロキョロと辺りを見回してみるけど、それらしい人影はなくて。
やっぱり、誤送信だったんじゃねーの?
指摘する返信を送ろうと、スマホをポケットから出した時、少し離れたところに停まってる車がクラクションを鳴らした。
わ、もうビックリしたなあ。
こっちは早く連絡しないといけないんだよ…
また鳴らされた。
何?俺邪魔になるようなとこ立ってないけど?
運転席の方を睨みつけてたら、ウィンドーが下りた。あっ、ヤバい。ガン飛ばしてるのバレる…あれ?
ウィンドーからのぞいたのは、よく知るおっさん、マサキの顔だった。
よくわかんないけど、急いで駆け寄る。
「は?何?これ?」
「とにかく乗れ」
言われるがまま助手席に乗り込んだ。
事態が全く飲み込めないまま、車は滑るように走り続けて、高速に乗った。
いつものように突拍子もなく、言葉も足らず。
「な、いい加減説明してくんね?どこに拉致る気?」
こっちは仕事上がりのまんまで腹減ってんだっての。
「どこ行きたい?」
へ?
えっと…
日本語でお願いします。
あ、日本語だ。
普段、人の意見はおろか人の話すら聞かない俺様が、そんなこと急に言ってくるからだろ。
「意味がわかりません」
正直に訴えた。
解説しよう。
11から帰ろうと思っていたら奥さんから、奥さんの両親と奥さんと娘ちゃんたちが9日から12日まで旅行に行くと連絡が来たらしく、マサキ帰るのも12にしたんだって。
んで?
「明日午後一の新幹線に乗る。それまで、どっか行くか」
はわわ、また!
また!!
意見を委ねられた!!
事情を飲み込んだら、だんだん今のこの状況を冷静に見ることができるようになってきた。
…夜のドライブデートですか?!
やだなにそれ萌えるー!
って思わず取り乱してしまう。
絶対無理だと思ってたのに。
デートなんて。
ドライブなんて。
お、お泊まりも、できちゃうのかな…
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