16 / 25

それはまるで夢のような 7

 俯いてモジモジしてたら 「どうした」  どうした、って言ってはいるけど、明らかに早くしろって圧がずっしりと… 「き、決めらん、ない」  やっとの事で答えたけど、次はきっと理由を訊かれるだろう。なんて答えれば…  そっと押し返されて助手席のスペースにもどると、マサキは何も言わずに車を発進させた。 あれ、怒った…? 俺が煮え切らないから? もしかして、どっちも嫌がってるって勘違いされたのかな? 「あの、マサキ」 「決められねえなら決めてやるよ」  う、うん。 怒ってるわけではなさそうだけど…  いつのまにか、高速は降りたみたい。 普段車乗らないからわかんないけど、信号とかあるってことはもう高速じゃないんだよな?  にしても相変わらず山ん中の田舎道で、タヌキでも飛び出してきそうな…あ、星は綺麗。 高速降りてどこ行くんだろ。なんだかもうミステリーツアーみたいになってきた。 ま、どこでもいいや。一緒だったら。  ブレーキが踏まれた時、車は辺り一面、木。 みたいなとこにいた。 流石に疲れたんだろな、ここで一休みすれば… ?!  ガクンとシートを倒されて、俺はひっくり返って転がった。そのまま後ろのシートに引っ張ってかれて、押し倒されて。 あっ、車で、ってこと? 今からここで、ヤるってこと? うわあ、ドキドキが止まらない! もう数え切れないぐらいヤってる相手に、なんでこんなドキドキすんの? も、ドキドキしすぎて息苦しんだけど。  苦しい上に、マサキが乗っかってきて、口を塞いでくるから、もっと苦しくて。 耳の下あたりに親指と人差し指当てて支えて、俺の顔の角度を変えまくって、舌と舌絡めて…  あ、ほんとに気が遠くなってきた。 そんなに酔いしれなくても。ウブな生娘かよ。 ん、でも、ほんと…  ぺちぺち。 ほっぺ、叩くなよ。 誰だよう…  ぺちぺち。 やだってば。 手で振り払ってみると、逆に手首掴まれて捻られた。 「痛っ!」  ようやく意識がハッキリすると、腕をねじり上げてくれてやがるのはマサキだった。 うん、ここ車の中、そうそう、イチャイチャし始めてて…  んで?

ともだちにシェアしよう!