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6-男子高校生コスプレ由紀生

「え、あの人ってお父さんなの?」 「兄弟かと思った」 「二十代じゃないの?」 数也の父親である由紀生はとにかく外見が若い。 お肌すべすべ、隅々まで瑞々しくて目立った皺は一つもない、加齢臭なんぞ恐ろしいくらい、これっぽっちもない。 数也にとっては自慢の、大好きな、誰にも一生渡さない気満々でいる父親だった。 「久しぶりにまた二人一緒のお休みだね」 朝食タイム、それは嬉しそうな笑顔でクロワッサンを食べる由紀生。 「だな」 そんな父親に素っ気なく返事をしつつ、内心、デレデレデレデレしまくりたい息子の数也。 クソ、本っ当、このかわいさはどっから来てんだ、畜生。 つぅか確かに若ぇよな、四十路には見えねぇ。 どっからどう見ても二十代、大学とか行ったって余裕で溶け込めんじゃねーのか。 十代、は……さすがに無理があっか。 いや、でも、格好でカバーすりゃあ、いけんじゃねーか? 十代の服装か……。 「カズ君、そんなにお父さん見つめて、どうしたの、もしかして食器でも割ったの? お父さん別に怒らないよ?」 「割ってねぇよ、今日は掃除すっか」 「お掃除?」 お出かけして外食でも、と考えていた由紀生は数也の回答にちょっとびっくりしたものの頷いた。 「そうだね、二人でピカピカにしよっか」

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