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「なぁ、オヤジ」 「どうしたの、カズ君、朝食食べるなり部屋に引っ込んで、どったんばったんしてたけど」 「掃除、なぁ、これ」 クローゼットの隅に仕舞われていた、高校時代の制服を引っ張り出してきた数也に由紀生は首を傾げながらも受け取った。 「わぁ、懐かしいね……カズ君が六年かけて卒業した学校の制服、他の子達よりも重みがあるね、きっと」 「着てみろよ」 「え?」 数也の言葉にさらに由紀生は首を傾げた。 「掃除すっから汚れてもいい格好じゃねーと」 「え、そんな、思い出がいっぱい詰まった高校時代の制服を汚しちゃだめだよ」 「着てみろって」 結局、それ以上うまい言い訳が思い浮かばずに強行突破、由紀生の普段着を問答無用に数也は脱がせ始めた。 カズ君、急にどうしたんだろう。 どうしてお父さんに制服を着せようとするんだろう。 どうしよう、怖いくらい意味が全くわからない。 そうして数也は由紀生に制服を着用させるのに成功した。 白い長袖シャツにエンブレムつきの濃紺サマーセーター、ストライプ柄のネクタイ、チェックのズボン。 明らかにぶかぶかだ。 「わぁ、お父さん、こういう制服、初めて着る。お父さんが高校生の頃は詰襟だったから」 最初は不可解な数也の言動にどうしようと不安がっていた由紀生だが、いざ着てみると、ちょっと浮かれてしまう。 「ん、カズ君、どうしたの、またそんなじっと見て……ほら、とりあえず食器片づけよう? 今日はピカピカにするんでしょう?」 朝食の後片付けを始めた由紀生。 紛れもない男子高校生コスプレの父親にタガが外れた数也は……。 「わっ!?」 いきなり背後から数也に抱きしめられて由紀生は危うく食器を落としそうになった。 寸でのところで持ち直し、かろうじてシンクの流し台にやや乱暴にガチャガチャ下ろすと、全力抱擁してくる数也にあたふた声をかけた。 「カ、カズ君、どうしたの、嫌いなゴキブリでもいた?」 「違ぇよ、オヤジ、てめぇクソかわいすぎ……ッ」 「んむっ!」 いきなり体の向きを変えられたかと思ったらキスされた。 腰から下がキッチンカウンターに押しつけられる。 両足の間に割って入るようにして、ぶちゅぶちゅぶちゅぶちゅディープキス、呼吸も許されないかのように息子に唇を奪われた。 傍から見れば自分より長身の年上男に犯されかけている男子高校生だ。 「……カズ、君」 散々好きなだけ由紀生の口内を嬲り尽くした唇が離れていけば、ねっとり、空中に出来上がった唾液の糸。 呼吸が困難だったのは由紀生だけじゃない、数也自身だって息継ぎも疎かにしてキスに夢中だった、そのおかげで二人の息は大袈裟なくらい乱れていた。 「……まだ朝なのに……カズ君、シたいの?」 「……なぁ、オヤジ」 まるで先輩後輩の間柄にあったかのような雰囲気を漂わせて、数也は、唾液塗れにした後輩の……いや、父親の唇を親指でゆっくりなぞった。 「んっ」 乱暴なキスのおかげで敏感になっている。 些細な愛撫が下肢にズシリと響いた。 「……名前で呼んでい?」 「え……」

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