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「先週末、貸切んときに時間オーバーしたからって、少し早く上がらせてもらった」 由紀生は数也からさっと視線を外した。 「カズ君、風邪引くよ、そんな恰好」 「オヤジが帰ってきたから出迎えにきたんだろ」 「あ……そっか、ありがとう」 ああ、どうしてどうして、カズ君の裸なんてもう延々と見てきてるっていうのに。 不意打ちで、びっくりして、どきどきしてる……。 「お、お茶淹れようかな、ほら、この間北九州のおばさんからお煎餅届いたでしょ、あれ開けようか」 「ああ」 「カズ君、コーヒーがいい? でも眠れなくな、ッ、!!」 由紀生がキッチンへ運ぼうとしていたコンビニ袋がどさりと床に落ちた。 数也からまたしても不意打ちを食らってつい手離してしまったのだ。 「カ、カズ君」 後ろから数也に思いきり抱きしめられて、由紀生は、真っ赤になる。 自分に絡みつく筋張った両腕に鼓動がさらに加速した。 「どう……したの? こんないきなり、お父さん、びっくりして心臓発作起こしちゃうよ?」 「ん」 「ほ、ほら、風邪引くから……早くシャツ着ないと」 「ん」 返事をしながらも数也に由紀生を手離す素振りは見られない。 むしろどんどん強まっていく抱擁。 それに比例して由紀生の赤面度も上昇していく。 これ、あれかもしれない。 このまま、えっちなことするパターン、かもしれない。 「カズ君、やだ……」 まだお風呂はいってない。 手も洗ってないし、うがいもしてない。 スーツ着たままだし。 それに、ここ廊下だよ? 「あ、カズ君……」 ごそごそとスーツの内側に入り込んできた数也の両手。 「こ、こら……、ゃッ!」 ワイシャツと半袖インナー越しに乳首をキュッとやられた。 上体を折り曲げるみたいに前のめり気味になった由紀生を追いかけて、数也は、うなじにキスを。 ちゅ……ッちゅ……ッ 「や、だ、くすぐったい……」 もどかしげに身を捩らせる由紀生のスーツのボタンがあっという間に外されて、ぱさり、床に落とされる。 ストライプ柄のワイシャツに包まれた華奢な肩。 庇護欲と性欲が同時に掻き立てられる。 「……カズ君、お父さんの言うこと聞いてる?」 「聞いてねぇ」 素っ気ない言葉にガーーーーン、肩越しに、おっかなびっくり由紀生は数也を見つめた。

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