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パラレル番外編-1/狼男息子攻め

かつて由紀生は狼女とお付き合いしていた。 彼女との間に授かった奇跡に数也と名付け、惜しみない愛情を注いで大切に育てた。 「父さん、僕がするから、危ないから下がってて?」 性格不一致で由紀生は狼女と別れ、男手一つで育てられた数也は、それは立派に育った、勉強も運動も卒なくこなし、嫌がることなく家事全般を担当し、由紀生が脚立に上って危なっかしげに天井の電球を交換しようとしていたら自ら進んで交代し、あっという間に済ませてしまったりと、優しさ気配りにも長けていた。 我が子ながら、なんってよくできた子なんだろう、カズ君。 由紀生にとって数也は自慢の息子だった。 そんな我が子にずっと昔から秘めてきた真実。 そう。 母親が狼女であったことを由紀生は数也に打ち明けていなかった。 十五夜になれば外見どころか性格まで変貌していた母親のことを、どうしても、伝えることができなかったのだ。 カズ君は満月の夜になっても変わらないし、うん、これからもずっと穏やかで平和な生活が続いていくはずだから。 狼女の血を継いでいることをわざわざ言う必要なんて、うん、ない……。 わぉぉおぉーーーーー……ん 深夜、由紀生は飛び起きた。 かつて何度も聞いた覚えのある遠吠えに鼓動が一気に加速した。 「ま、まさか」 四十路男のくせに水玉パジャマを恐ろしく着こなした由紀生はベッドから飛び降りて声のした方へ。 急いで洗面所へ向かってみれば。 「あ!!!!」 明かりが点された洗面所の出入り口で由紀生は見事に固まった。 視線の先には……狼男化した我が子が同じように洗面台の鏡面前で固まっていた。

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