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パラレル番外編-1/高校生数也攻め@タイムスリップ

「「こいつ誰だよ」」 そんなわけでゴールデンウィーク真っ只中に高校時代の若かりし数也がタイムスリップして由紀生と数也の前に現れた!! 「うそ……カズ君……?」 睨み合う現在の数也と過去の数也。 その場で棒立ちになる由紀生。 パツキンに染められた髪、ピアスがずらりと並ぶ両耳、これでもかと着崩したブレザーの制服、何かじゃらじゃらしたものがぶら下がっている、顎ヒゲ……は生えていない。 かつては顕著な反抗期に悩まされた、今となっては懐かしい不良息子時代の過去の数也。 感極まった由紀生はタイムスリップして現代にやってきた方の息子の元へ駆け寄った。 「カズ君!!」 「は? 何言ってんだよ、ボケるにはまだ早ぇだろうが、オヤジの息子はこっちだろうが、相手間違えてんじゃねぇよ」 「違うよ、カズ君、わからないの? この子は昔のカズ君なのに」 「「意味わかんねぇ」」 懐かしいなぁ、カズ君。 そう、お父さんを見るこの目つき。 胸が毎回ずきんするくらい、冷たい……。 「う……うう……」 かつて自分を苦しめた冷たい眼差しと再会して由紀生は思わず胸を押さえる、現在の数也はすかさず過去の数也から愛しい父親を引き離すと、真っ向から牽制した。 「昔の自分だろうと俺のオヤジは誰にも渡さねぇ」 「……」 現在、元先輩が営んでいるイタリア料理店にホールスタッフとして勤務している、成人済み、黒髪短髪の数也はパツキン数也を睨みつけた。 睨まれたパツキン数也もまた数也を睨みつける。 二人の息子の間に流れる険悪な雰囲気に唯一の父親である由紀生はハラハラドギマギしていたが……。 「あ! そろそろ電車の時間だ、もう出ないと!」 「オヤジ、こいつどうすんだよ、ウチに置いていったら通帳勝手にとられるんじゃねぇのか」 「誰がんなダセェことすっかよ、ケンカふっかけてきた奴の財布からタイマン代として正式に頂戴するに決まってんだろぉが」 「こらっ、余所様にご迷惑かけるくらいならウチの通帳勝手にとられた方がいいっ……じゃなくて。ほら、カズ君もおいで?」 「「は?」」 二人の息子にジロリと見下ろされた由紀生は柔らかな笑顔を浮かべる。 「今からバーベキューに行くんだよ。昔のカズ君もお肉大好きでしょ? せっかくの十連休ゴールデンウィーク、奮発したんだよ」 「は? 十連休のゴールデンウィーク? は?」 過去からタイムスリップしてきたパツキン数也は当然なーんにも知る由がなく「ちなみに平成終わったぞ」と数也に言われると「は? 平成終わった? は?」と素直に聞き返してきた。 ふしぎなこともあるもんだなぁ。 終了した平成からの置き土産的なプレゼント(?)かなぁ。

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