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パラレル番外編-4
「主任、顔赤いです! 酔っちゃいました?」
「あっ、えーと、程よい感じかな」
「程よい感じ(^▽^)」
「オヤジと二人っきりで何いちゃついてんだ」
遊び心いっぱいな風にカラフルディスプレイされたテント内に数也が入ってきた。
「おら、オヤジ」
「わぁ、おいしそう、お肉にエビにソーセージにピーマンにカボチャ」
「おら、どーぞ」
「わぁ! 僕にまでありがとう、カズヤ君!」
「ちょっと待って、それ生焼けっぽいような気がする」
「レア好きの僕に焼き加減調節してくれるなんて、さすがイタリアンシェフだね!」
「俺はシェフじゃねぇ」
爽やか部下は満面の笑顔でレアな牛肉を頬張り、数也も焼きたてのお肉をバクバク食べ、由紀生も、丁寧に殻まで剥かれたエビに口をつけようとした。
「カズ君」
「何だ、オヤジ……」
聞き返した数也をソファに残し、由紀生はテントを出て外へ。
広々とした芝生の広場でゆったり間隔の空いた各テント、清々しい木陰で家族連れや友達同士など多くの客がバーベキューをそれぞれ楽しんでいる。
パツキン数也はデッキチェアに座っていた。
そばのサイドテーブルにはお皿が二つ。
ところどころ焦げている食材が無造作に盛られていた。
「カズ君、はい、飲み物」
由紀生が烏龍茶のペットボトルを差し出せば「ビールくれよ」とふてぶてしげに言う。
「だめだよ、こっちのカズ君はまだ未成年だから」
「フン」
「上手に焼けたね」
「うっせぇ、どこがだ」
「こっちのお皿、もらってもいい?」
「半グレ集団の一員みてぇなアイツからもうもらってんじゃねぇか」
「それじゃあ、いただきます」
「あ」
由紀生はサイドテーブルに乗っていたお皿を一つ、ひょいっと取り上げ、端っこが焦げているお肉を一口ぱっくん、した。
「うん、おいしい」
「焦げてっからマズイだろ、そっちの皿の肉食えばいーじゃねぇか」
「どっちも食べるよ? カズ君も食べよう? そうだ、後でアリジゴク探し、する? カズ君はアリジゴク好きだもんね」
「こんな芝にいんのかよ」
水玉柄パーカーにスッキリめベージュのチノパン、シンプルなスリッポン、どこからどう見ても連休にはしゃいでいる大学生にしか見えない由紀生。
ストライプ柄のネクタイを緩め、全開ブレザーにチェックのズボンを履いた、このテーマパークで唯一学校の制服を着用しているパツキン数也。
とてもじゃないが親子に見えない、不良男子の更生に全力を尽くしているボランティア大学生という図にしか見えない。
「あのイトコ君、何回見てもカズヤ君にそっくりくりそつだね!」
「そりゃあな、当然だろ、イトコなんだから」
「何だか高校時代に遡ったカズヤ君みたいだね!」
「どうだか……な」
爽やか部下とちゃんと会話しつつ、数也は、デッキチェアにそれぞれ腰かけた二人を遠目に見つめた。
「俺はあそこまで目つき悪ぃクソガキじゃなかった」
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