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「んむぅ……っカ、カズく……ぅんっ、ふ」
何度も角度を変え、食い漁るように。
数也は由紀生に口づけた。
シルバーのネックレスについたモチーフが首筋に擦れてくすぐったい。
氾濫する唾液で溺死しそうだ。
「……オヤジ……」
「カ、カズ君……」
久し振りに面と向かって対峙した息子の顔はこれまでに見たことのない表情をしていた。
子供じゃない。
大人でもない。
正しく混沌たる青少年の顔。
「勝手な奴」と、初めて見る息子の顔つきに驚かされていた大人に青少年は吐き捨てた。
「ほんっとう勝手だよな、オヤジは」
「…………」
「てめぇより先に帰んのが嫌で俺が遅く帰ってたの、知ってたか?」
「……え?」
「てめぇを待つ時間、あれ、さいっっこぉにうざいんだよ、わかっか?」
「あっん」
射精しても図太く硬いままのペニスでまたぐりぐりごりごりされ、由紀生は、仰け反った。
「や、やめ……」
「やめっかよ、ばーか。今日は一晩中、中出ししてやっからな」
「カズ君……どうして、そんな」
怒ってるんだね?
勝手な父親だって、そう、思ってるんだね?
いきなり会わせるなんて、卑怯だって、そう言いたいんだね?
「でもね、とってもいい人だから」
「や……めろよ、聞きたくねぇ、今はなんにも」
「これまで何人もの子を相手にしてきた人なんだよ?」
「……は?」
「不登校の子や、非行を繰り返す子、みんな、小曾根先生とお話して次の一歩を踏み出すことができたんだって」
「………こそねせんせ?………」
「とっても評判のいいカウンセラーの先生なんだよ?」
『……カズ君に会ってもらいたい人がいるんだ』
数也はてっきり再婚相手だと思い込んでいた。
二十代後半から三十代前半の、まぁまぁかわいい勤め先の事務員でも新しい母親として紹介されるんだろうと、そんな風に。
「……でも、確かに……勝手に一人で決めるなんて悪いことだったね、ごめんね……?」
由紀生はイイコイイコするように数也のパツキンを撫でた。
傍目には十八歳の息子がいるとは思えない、綺麗な、男。
『蟻さん、かわいそう』
アリジゴクの巣から蟻を拾い上げた、目の前で命が失われることに耐えきれず、後で飢え死にするかもしれないアリジゴクのことまでは考えが及ばなかった、単純で優しい父親。
そんな父親のことが数也は好きで。
「ん……もう……抜いて……? お父さん、このままじゃ……きつい……」
そばにいたい、でも待ちたくない、つらいから。
近くにいたら制御不能になりそうなくらいの欲望が溢れ出しそうで、冷たくして。
でもやっぱりそばにいたい。
悪循環はもう終わりだ。
「……カウンセラーなんて必要ねぇよ」
「え?」
「こーやって……」
「あっだめっ動かしちゃ……!」
「オヤジにがっつり突っ込めれば……ストレス解消、成功ぉ……もうフラフラしねぇから」
ぐちゅぐちゅとなかを掻き回されて「あんっ」と声を上擦らせながらも、由紀生は、長い間待ち焦がれていた希望に双眸をじわっと濡らした。
「……カズ君、もう、どこにも行かない……?」
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