19 / 134

パラレル番外編-4

あともう少しで日付が変わる。 「あ……あ、カズ、くん……ッ」 血が奪われていく、少しずつ、少しずつ。 慣れた痛みが首筋から全身を蝕む。 「ぁ……ッ……ん」 ネイビー生地に水玉柄のパジャマを着た由紀生を膝上に抱き上げた制服姿の数也。 甘い芳香のする首筋に乱杭歯を突き立て、血を、得る。 食事をとっても満たされない飢えを潤していく。 「ふぁ……ぁ……」 カズ君、いなくなるのかな。 この家からいなくなるのかな。 「ん……カズ君……」 自分の細腰を抱き寄せている数也の肩を、由紀生は、きゅっと掴んだ。 そのままぎこちなく背中に両手を這わせて、自分も、抱きしめる。 グチュッ 「ぁ、ぁ、ぁ……」 さみしいけど、でも、頑張ってね。 お父さん、応援してるからね。 「あ……っ、いゃ……」 「……なぁ、オヤジ」 ふと中断された吸血行為。 「なんで泣いてんだ?」 「……」 「てかさぁ、最近、なんでそんな?」 「え? な、なに? どうかした?」 自分の腕の中でぽろりと涙しながらわたわた聞き返してくる由紀生に、数也は、言うのだ。 「なんでそんなえろいんだよ?」 「……え?」 「前は違ったろ? ここんとこ、なんで、そんなえろい声出すんだよ?」 「えろ……っ!?」 「自覚ねぇのかよ、てかなんで泣いてんだよ、まじ」 「……カズ君、卒業したら家出ていくんだよね?」 「……ッ」 「お父さん、さみしいけど……それがカズ君の選んだ道なら応援するね」 「……、……」 「あ、でも……いつでも血は飲みにきていいからね……、?」 どさっと、ソファに押し倒された。 戸惑いがちに目をやれば、何故か、不機嫌そうな数也の眼差しとぶつかった。 「カズ君、どうしたの?」 「オヤジは俺をそんな簡単に手離せるわけか」 ブチブチブチッ 唐突に力任せにパジャマ前を押し開かれてボタンが飛んだ。 「俺はムリ」 「カズ君?」 「絶対、無理」 「どうしたの?」 数也は答えずに由紀生にキスをした。 ただ唇を重ねるだけじゃなく、舌を、いれてきた。 唾液が絡まる。 微熱が擦れ合う。 欲望が勢いづく。

ともだちにシェアしよう!