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5-ふぁざこん息子、風邪を引く
その日、熱が出て仕事を休んだ数也は日中をほぼ自室のベッドで寝て過ごしていた。
はぁ、だりぃ、頭も手足もどこもかしこも重てぇ。
今日、水しか飲んでねぇ。
オヤジ、今日も残業なんだろうな、帰ってくんのは十一時過ぎんだろう。
早く帰ってこねぇかな。
父親の由紀生は今日の数也の体調を知らない。
朝、父親が出勤する時間帯に一端目覚めて送り出し、それから二度寝する息子だが、体調不良を伝えることなくいつも通りスーツの後姿を見送っていた。
心配かけたくないと思った。
でも、今、なんだか無性にさみしい。
体調を崩して少々おせんちになっているようだ。
夜七時過ぎ、父親の帰宅はまだまだ先だろうと、ベッドで何度も気怠そうに寝返りを打っていた数也の耳にまさかの声が……。
「ただいま」
うそ、オヤジだ、もう帰ってきた、やったぁ……。
「お邪魔します!」
は?
なんだ今の、幻聴か?
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