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【オトナ編】胸クソ悪くなくてもお仕置きします♪

「唯来、ちょっと待てって」 放課後だった。 見るからに肉食な年上トリオに輪姦されて以来、ヤリチン性はぱったり成りを潜め、以前と比べてゲスッ気がなくなっていた唯来は学校の中庭で振り返った。 「無視すんな」 体育館通用口から出てきて唯来を呼び止めたのはクラスメートの陽真(はるま)だった。 バスケ部である彼は練習を抜け、バッシュのまま走ってくると、スクバを肩に引っ掛けて立ち止まっていた唯来の真正面までやってきた。 「別に無視してない。聞こえなかっただけ」 「唯来さ、最近、変じゃ?」 「それ、わざわざ今言う? 練習戻れば?」 甘爽やかぶりっこだったはずの唯来は無愛想にそう言うと校門に向かって歩き出した。 「何かあった?」 陽真はその隣をついていく。 ブルーのシャツにネクタイ、チェックのスラックスにローファーの唯来はほぼ同じ身長であるクラスメートに面倒くさそうに言う。 「熱血運動部うざいです」 「表情、暗いっていうか」 「ほら、三年が怒ってるよー」 「休み時間、誰とも喋んないし。だるそうっていうか。どっか具合でも悪いのか?」 校門を抜けても隣をついてくる陽真に唯来はプッツンした。 「うるっせぇなぁ、汗くせーんだよ、ほっとけ、マジうぜぇ」 甘爽やかぶりっこの仮面を剥ぎ捨てた唯来に陽真は目を見開かせた。 あ。 さすがに。 ちょっと言い過ぎた。 そーいえば、女子以外、野郎で気にかけてくれたの陽真だけじゃん。 「……ごめん」 「ッ、あーーーー……ううん、俺の方こそごめ、」 「唯来クーーーーン」 陽真に謝りかけていた唯来はギクリした。 恐る恐る視線を向けた先には、サングラスをかけた黒髪のタクミがニヤニヤなコーダイとガムを噛んでいるリュウを背後に従え、無表情で手を振っていた。 「お友達連れてきてくれたんですねェ」 怪訝そうにしている陽真を隣にして、唯来は、目の前が真っ暗に……。

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