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胸クソ悪くなくてもお仕置きします♪-8
「ハイ、タクシー代、気をつけて帰ってくださいねェ」
よろよろな青少年二人はタクミにもらった一万円札でタクシーに乗って帰った。
「あ、どうしよ……陽真、制服……」
「……」
反対側に深くもたれた、Tシャツにショートパンツという練習着のまま、しかも鞄も持っていない陽真に唯来はどうしようかと迷う。
「どーする、学校、戻る?」
「……もういい、このままで」
陽真、怒ってんな。
ずっと目、合わせてくんないし。
当たり前か。
つーか腰のだるさ、尋常じゃないです、コレ。
お互い後部座席の反対側に寄って会話も交わさない青少年二人。
ラジオで流れる聞き慣れない演歌が何故か体に染み渡るような。
そのときだった。
「お、降りる」
まだ家まで距離があるというのに陽真が突然降りると言い出した。
勝手に運転手にタクシーを停めるよう頼み、唯来に何か言うでもなく扉が開かれるなり外へ飛び出し、あんな目に遭わせた手前放置することもできず慌てて唯来も後を追った。
「ど、どしたの、陽真」
もう辺りは真っ暗、混み合う表通りを避けたタクシーは見ず知らずの住宅街を突っ切ろうとしていたところで、ここどこだと思いつつ唯来は陽真に問いかけた。
「てか……ほんと、ごめん」
公園を取り囲むフェンスにしがみついて項垂れていたクラスメートの隣へ、罰が悪そうに近寄って。
「あっ」
唯来は見てしまった。
陽真のむっくりな股間を。
「……もう、どうしよ、俺……こんなん……どうしよ……」
陽真はフェンスにしがみついてグスグスし始めた。
唯来はゴクリと唾を呑み込んだ。
「せ……責任、とるから」
これまでどの女子にも告げたことがない言葉を陽真にかけた。
「俺が何とかするから」
やりきれない自分自身に涙していた陽真は瞬きするのも忘れて自分に寄り添う唯来を見つめた……。
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