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第183話
「次はライオン見に行こう、ライオン!」
もっとペンギンを見ていたかったけど、仕方なく次の場所へ移動する。
ライオンを見に行こう!そう言ったアリスはいつに無く輝いていた。
ライオン好きって言ってからなぁ。
感情が高ぶって檻の中に飛び込まないといいけど。流石にそんな事しないか...。
ライオンのいるエリアには他の肉食動物たちもいた。
ネコ科なだけあって、野生の本能は何処へやらまったりと過ごしていた。
本当に「百獣の王」なのだろうか。
その肩書きを利用して威張っているだけなのかもしれない。
「なんか、ライオンって感じじゃないね。 猫みたい」
「ネコ科だからね。...もっと近くで触りたいんだけど」
「やめときなよ。 餌だと思われて食べられるよ」
本当に行ってしまったら怖いから、アリスの服の裾をきゅっと握って止めると、ふふっとアリスは笑った。
裾を握っている手を握って手を繋いでくれた。
「流石の俺も行かないよ。 さ、次行こ!」
手を握ったまま歩き出す。 男同士で、恥ずかしいと思う反面、嬉しいという気持ちの方が大きかった。
手は握ったままで、手を繋いでいると周りから分からないようにくっついて歩いた。
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