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第203話
背筋がゾクッとした。
この男はやばい、と直感で思った。
急いでドアを閉めようとするが、男の足が間に入って閉まらない。
無理矢理ドアを開けられ、部屋の中に押し入られる。
怖くて、足に力が入らない。 逃げないと、と思っているのに体が言うことを聞いてくれない。
「ずっと探してたんだよ。毎日ストーカーして、やっと家に辿り着いたのに同居人が居るじゃないか」
床にへたり込んでいる俺を見下ろしながら男が話す。 顔はマスクで覆われていて見えないが、その目は笑っていない。
逃げないと……
「ふっ、逃がすと思う?」
「っ……!いたっ……」
手首を力強く捕まれ、骨が軋む。 痛みに顔を歪めている姿を、男は楽しそうに見ている。
そしてポケットから出したタオルで口を塞がれ、僕の意識は途絶えた。
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