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第213話
「疲れた……」
有栖はグーッと伸びをして、机に突っ伏した。 山積みに積まれた書類が横目に映る。
「はあぁ……」と深いため息をついた。厄介事、社内やお店での疑問、改善点、他の書類も最終チェックするのは全て社長である有栖の仕事。
父から譲り受けた会社、より良くしていこうと努力し、ここまで大きく成長した。
仕事には誇りを持っているし、不満がある訳ではないが……
「白雪に会いたいギュッてしたいチューしたいエッチしたい……」
最近は色々重なってより多忙になった為、白雪と一緒にいる時間が前と比べて確実に減った。
白雪にも寂しい思いをさせているだろうし、何より有栖自身が白雪不足でぶっ倒れそうだった。
ストーカーにあってるって言ってたし…… 心配だな……
何故か胸がザワザワして嫌な予感がする……
「成宮、ちょっと白雪の様子見てきてくれない?俺今手が離せなくて」
「別にいいが。どうかしたのか?風邪とか?」
俺はこの書類の山を今日中に片付けないといけない。
だから俺の右腕、秘書である成宮に頼んだ。
上質なスーツを着こなし、オールバックにした金髪。完全に見た目はヤクザだが、優秀な俺の秘書だ。
成宮は引き受けてくれたが、不思議そうに問う。
「実はストーカーにあってるらしくて……。一応家から出るなとは言ってるんだけど心配で」
「それは手遅れになる前に対策した方がいいんじゃないのか? ストーカーほど面倒くさいものはないぞ」
「だよねー、もっとしっかりしたセキュリティにしようかな」
不審者が来たら、応対中に勝手に地面に穴が空いて不審者が落ちていくシステムだったら楽なのに、なんて考えるが、そんなこと現実では出来ない。
胸がザワザワして心配だったから成宮に任せたけれど、きっと大丈夫。
帰ったらたくさん白雪を可愛がろう、そう思い頑張るが胸のザワザワは消えなかった。
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