213 / 267
第214話
成宮に白雪の様子を見に行かせて数分が経った。そこで成宮からの電話が鳴った。
胸のザワザワが大きくなる。心臓がドクドクと早いスピードで脈を打ち、呼吸がしづらくなる。
落ち着け、きっと大丈夫。そう言い聞かせ、深呼吸をして電話に出た。
「…もしもし」
『遅かった』
「……は…?」
『白雪がいない。鍵が開いていたから誰かに強制的に外に出された可能性が高い』
頭が真っ白になった。
俺のせいだ、きっと大丈夫だろうって放置してしまったから。大切な人を失ってしまうかもしれないというのに。
頭をバットで殴られたかのような衝撃に、クラクラして吐き気さえした。
「探しに行く」
『待て、早まるな。とりあえず夜まで様子を見よう』
「そんな悠長な事言ってられないだろ?!」
『もしかしたら、ただ出掛けているだけかもしれないだろ。焦りすぎても危険だ。見極めろ』
成宮の言葉にグッと言葉に詰まる。
言っていることは正しい。だけど、白雪が安全だという保証はないだろう。
今、この時も白雪は痛い思い、苦しい思いをしているかもしれないと思うと、心がズキズキと痛む。
ともだちにシェアしよう!