220 / 267

第221話

「じゃあ俺は白雪連れて帰るよ」 「わかった。後は任せろ」 ベッドで気を失っている白雪を抱き、温かくて安心した。 良かった、もう会えないかと思った。 「許さないからな」 去り際に、男にそう伝えた。 成宮の顔も強ばっている。俺そんなに怖い顔してるかな? 今はそんなのどうでもいい。 早く家に帰りたい。 * アリスが出ていくのを確認して、はぁ、とため息をついた。 あいつがマジギレした所初めて見た。 普段の穏やかな雰囲気は一切なくて、冷酷非情…… 本当に人を殺してしまいそうで怖かった。 改めて思うが、とんでもないヤツだ。 この男も災難だな。アリスの大切な人を奪って、これからは絶望が待っている。 「という訳だ、お前には痛い目にあってもらわないと割に合わないんだわ」 「っ!はぁ……?」 「チビちゃんにした事の倍返しって言ったら分かるか?」 男の絶望した顔を見て、ご愁傷様、と心の中で言っておいた。まぁこいつが悪いんだけど。 目をつけられた人が悪かったな。よりにもよってアリスとは…… この男付いてない。 コンコン、とノックが聞こえた。 入ってきたのは、ガタイのいい強面の男だ。 「よろしくお願い致します。私共には専門外でして」 「任せてください。この男ですね。 成宮さん、お忙しいでしょう。後は俺が処理しておくのでどうぞお仕事に戻られてください」 俺がこんな男の為に手を汚すのは嫌だ、と言うと「その道のプロに頼めばいい」と来てくれたのがこの人だ。 一見優しそうだが、専門は調教と拷問。アリスの知り合いらしいが、どうしたらこんなヤバい奴と知り合いになれるのか謎だ。 お言葉に甘えて部屋を出て仕事に戻ろうと廊下を歩いていると、後から男の叫び声が聞こえてきた。 哀れなヤツ。

ともだちにシェアしよう!