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第221話
「じゃあ俺は白雪連れて帰るよ」
「わかった。後は任せろ」
ベッドで気を失っている白雪を抱き、温かくて安心した。
良かった、もう会えないかと思った。
「許さないからな」
去り際に、男にそう伝えた。
成宮の顔も強ばっている。俺そんなに怖い顔してるかな?
今はそんなのどうでもいい。
早く家に帰りたい。
*
アリスが出ていくのを確認して、はぁ、とため息をついた。
あいつがマジギレした所初めて見た。
普段の穏やかな雰囲気は一切なくて、冷酷非情…… 本当に人を殺してしまいそうで怖かった。
改めて思うが、とんでもないヤツだ。
この男も災難だな。アリスの大切な人を奪って、これからは絶望が待っている。
「という訳だ、お前には痛い目にあってもらわないと割に合わないんだわ」
「っ!はぁ……?」
「チビちゃんにした事の倍返しって言ったら分かるか?」
男の絶望した顔を見て、ご愁傷様、と心の中で言っておいた。まぁこいつが悪いんだけど。
目をつけられた人が悪かったな。よりにもよってアリスとは……
この男付いてない。
コンコン、とノックが聞こえた。
入ってきたのは、ガタイのいい強面の男だ。
「よろしくお願い致します。私共には専門外でして」
「任せてください。この男ですね。 成宮さん、お忙しいでしょう。後は俺が処理しておくのでどうぞお仕事に戻られてください」
俺がこんな男の為に手を汚すのは嫌だ、と言うと「その道のプロに頼めばいい」と来てくれたのがこの人だ。
一見優しそうだが、専門は調教と拷問。アリスの知り合いらしいが、どうしたらこんなヤバい奴と知り合いになれるのか謎だ。
お言葉に甘えて部屋を出て仕事に戻ろうと廊下を歩いていると、後から男の叫び声が聞こえてきた。
哀れなヤツ。
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