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第222話

暖かい陽だまりに包まれているような感覚。 僕の好きな匂い。好きな温もり。 これは……?夢…? ゆっくりと目を開けると、アリスの腕に包まれていた。 なんで?カガワは?しかも家に帰ってきているし、体も綺麗にされている。傷の手当も…… 夢なのか、現実なのか、分からない。 夢だな、それか僕はもう死んでしまって最後にお願いを叶えてくれたか。 「……ん、…白雪……?起きた?」 少し寝ぼけているのか、薄く目を開けて頭を優しく撫でてくれた。 すごいリアルに感触が伝わる夢だな。ちゃんと温かく感じるし。 試しにアリスの頬っぺたをペチペチ叩くが、手に触れた感触が伝わってくる。 「すごい夢だな……」 「……そりゃあ、夢じゃないからね」 目を瞑ったままそう答えるアリス。 夢じゃない……としたら、僕はどうやって帰ってきたんだ? あの状況では逃げ出せる筈ないのに。 「アリスが助けてくれたの……?」 「んー、そう」 そっか、アリスが助けてくれたんだ…… もう会えないかと思った。夢じゃない。 ちゃんと温もりを感じる。 帰ってきたんだ、愛するアリスの元へ。 ポタリと涙が落ちて、シーツにシミを作った。

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