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第224話
「……ん、」
「白雪は強いね。怖かっただろうに、それに屈しなかった」
「でも…結局最後は……」
抱かれてしまった。
あの時の事を思い出して、吐き気がする。 ギリッと歯を食いしばって耐える。
「それは……残念だったけれど、こうして白雪がいる。俺は白雪が傍に居てくれるだけで満足だし、白雪を酷い目に合わせたあいつはもう……」
意味深なところで言葉を区切り、何も言わなかった。
どうなったんだろう、あいつは。 僕の居場所も、なんで分かって迎えに来てくれたのか、さっぱり覚えていないのだ。
アリスは「ナイショ」と人差し指を唇に当てて微笑んだ。
これは、聞かない方がいいのだろう。だから深く聞かない。
「そんな事も考えられないくらい、俺で一杯にしてあげようか?」
「……うん…」
コクリと小さく頷くと、可愛いと言って僕の額にキスをと落とした。
優しくベッドに押し倒され、そっと唇を合わせた。
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