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第229話

*** あの事件から数日が経ち、僕は今まで通りの平和な日々を過ごしていた。 眩しい朝日が差し込み、朝だということが分かる。 物音で目を覚ますと、隣にはアリスがいなかった。 ふと物音がした方に目を向けると、クローゼットの前に立ちネクタイを結んでいるアリスがいた。 高級そうなスーツに身を包み、キリッとした眼差しはまさに社長に相応しい。 「白雪?起こしちゃった?」 「ううん、 もう仕事行くの?」 「うん。もっと一緒に居たいんだけどね…… 今日は早く帰るから」 「うん」 いってらっしゃいのキスをして、アリスを見送る。 昨日は休みを取ったらしいけれど、その皺寄せがきてるんだろうか。 心の中で「ごめんなさい」と謝っておいた。 ベッドから起き、朝ごはんを食べてバイトに行く準備をしていると、成宮さんが来た。 「チビちゃん、元気そうだな。良かった良かった」 「はい、お陰様で。 どうしたんですか?」 「いや、あいつが資料忘れたらしいから取りに来た。それと……」 成宮さんにしては歯切れの悪い、何か言いにくそうだ。 「あー、その」と頭をガシガシと掻く。 一体どうしたというのだ。 「姫さんと喧嘩しちまってな……。 もしここに来たら引き止めておいてくれないか」 「喧嘩……。分かりました」 あのバカップルでも喧嘩とかするんだ、なんて関心していると呆れ顔でデコピンされた。 いったぁ、容赦ないな……

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