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第232話

事の発端は今朝。 ゆーくんは最近仕事が忙しそうで疲れている。 昨日も帰ってきたのは深夜1時過ぎくらいだった。 そんなゆーくんを楽させてあげようと、朝ごはんを作った。料理は苦手だけど、頑張ったら出来ると思っていた。 だけど、トーストは丸焦げにするし、ハムを切ろうとすれば自分の指を切るし、コーヒーを作ろうとお湯を沸かすと火傷するし、上手くいかないものだった。 起きてきたゆーくんの顔は強ばっていた。 救急箱を持ってきて、絆創膏を貼っている最中で、マズいと思った。 心配性なゆーくんだから絶対怒る…… 「姫さん……」 「ゆーくん、これは……」 「これは食べ物なのか……?」 ゆーくんが指さした先にあるのは、まっ黒焦げになったトーストが乗った皿だった。 食べ物やろ、食パンの形してるやん。 というか、怒らない?なんで? 「ゆーくん、怒らんの……?」 「怒る気力もない」 怒る気力もない程に呆れてるのか?! 俺ゆーくんに喜んで貰おうと頑張ったのに…… 「ゆーくんのアホォォ!!!ニンジンと結婚しとけバカァァ!!」 「は?!おい、姫!」 後から静止の声が聞こえたが、そんなの知らん! 俺は家から飛び出した。

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