232 / 267

第233話

喧嘩の内容を話終えると、白雪くんも店長さんも微妙な顔をしていた。何やその顔は、何が言いたいんや…… 「ただの痴話喧嘩じゃねぇか」 白雪くんが真顔でそんな事を言う。 やめて、可愛い子が真顔でそういう事言うのやめて。怖い。 「もっとドロドロの昼ドラみたいな展開を期待してたんだけどなぁ……」 店長さんも酷い……。昼ドラみたいなってどんやねん、ドロドロの展開って不倫とかってこと?!絶対嫌や!! 「なぁ、どっちが悪いと思う?」 「どっちがって……」 白雪くんは返答に困っている。何か言いたげだが……。 そこで返答したのが店長さんだった。 「お互いちゃんと話したほうがいいんじゃないかな?言葉が足りてないと思うよ」 「でも……帰りにくいし……」 「自分の気持ちを相手に伝えるのは簡単なようで難しいものなんだよ。 成宮くんもそうだね。すごく不器用で、気持ちを伝えるのが下手、でも一生懸命相手に伝えようとする」 「ゆーくんが……」 ゆーくんは何でもできる。料理もできるし、スポーツも、頭だっていい。 でもそれは努力してるからであって、元々出来たわけではないと思う。 気持ちを伝えるのが下手…… ゆーくん…… 「……帰る。ちゃんと謝る」 「うん、それがいい」 店長さんはふわっと笑って背中を押してくれた。 サービスと言って、コーヒー豆をくれたけれど、よかったのだろうか。 帰ったら、ちゃんと謝る。仲直りする。

ともだちにシェアしよう!