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第234話

家に帰ると、誰もいなかった。 そうだ仕事だった。 今日は一体何時に帰ってくるんだろう……。 最近夜遅くまで仕事しているみたいだし、体を壊さないか心配だ。 ついさっき朝ごはんを食べたばかりだからお腹も空いていないし。 コーヒー……淹れてみようかな…… 家で作るから店長さんみたいに上手くいかないだろうけど…… なんとなく、2人分のコップを出して淹れた。 きっと夜にしか帰ってこないだろうけど、なんとなくだ。 そうしていると、ガチャと扉の開く音がした。 え、なんで? 「姫!」 「ゆーくん!なんで?仕事は?」 何故か仕事に行ったはずのゆーくんが息を切らして玄関に立っていた。 どうしたんやろ、息切らして急いで帰ってきたみたいやけど。 そんな事を考えていると、ギュッとゆーくんの大きな腕に包まれた。力強く抱きしてられて、胸が暖かくなる。 「心配した……」 「ゆーくん、ごめんなさい……」 心配して帰ってきてくれたのかな? 素直に謝ると、頭を撫でて「気にしてねぇよ」と優しく笑ってくれた。

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