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第236話

後日、帰ってきたゆーくんはげっそりしていた。 仕事で何かあったのだろうか。 「姫さん、村田の店に行ったのか?」 「村田? あぁ、コーヒーのお店? 行った行った」 やっぱりか、とため息をついてソファに座った。 ネクタイを緩めるその姿がかっこよくて、隣に座った。 すると抱き寄せられ、俺がゆーくんの上に乗っかる形にされる。 俺重くないかなぁ…… 「村田が『成宮くんの恋人すごく可愛いね!どうやって知り合ったの?ねぇ教えてよ!』て煩くて」 「ははは……大変やなぁ」 「大変やなぁ、じゃねぇよ。あの喧嘩の事も言いやがって、お陰で散々な目にあった」 はあぁ……と大きなため息をつくゆーくん。 相当疲れてるな。お風呂の用意したほうがええよな。 ゆーくんの上から退けようとすれば、逃げられないようにガッシリと体を固定されている。 なんでや、お風呂に入りたくないんか?! 「一緒に入ろう、姫さん。だからもう少しこのままがいい」 「甘えたさんや」 「嫌か?」 「好きやで、甘えたなゆーくん」 いつもはかっこいいゆーくんが俺の前では甘々な恋人になる。それがとても嬉しいのだ。 優越感に浸りながら、甘い時間を過ごしたのだった。

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