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第238話
「あの人、俺にちょーだい」
は…?
「だって、超かっこいいじゃん!ユキには似合わないよ。どうせあの人もお前の事なんて見てない。どうせ遊びさ。なら俺にちょーだいよ、俺に本気にさせるから」
「なに、言って…」
意味が理解できない。
遊びじゃない… アリスは僕のこと好きって…
「だってお前には釣り合わない。お前は汚い。俺知ってるよ?店長に拾われる前何してたか…」
「ッ! やめて!」
それ以上喋るな、と言う意味も込めてキッと睨んだ。
リンはこれ以上にもない程の笑顔だった。
こいつはこういう奴なのだ。
「帰る… もう話しかけないで」
「あっそう。もうお前「には」話しかけないよ」
イライラする。
自分でもどうしたらいいのか分からなくて、涙が出てきた。
無言でアリスの袖を引っ張って連れていく。
「白雪?泣いてるの?何か言われたの?」
「……」
今は何も言いたくない気分だった。
後でリンがニヤニヤと笑っているのが分かったから。
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