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第240話

夕飯のクリームパスタを平らげ、少しだけ落ち着いた。 アリスの作る料理はどれも美味しい。僕もたまに作るけど、アリスみたいに凝った料理は作れない。 きっと僕が食事を作ったら毎日チャーハンになる事だろう。 「おいしかった?」 「うん」 だけど、リンには十分注意しておかないと。 あの手この手で落としにかかるだろう。欲しいものは必ず手に入れる、それがリンのやり方だから。 まさかアリスが僕よりリンを選ぶという事はないだろうけど… あまり自信がない。愛されているとは思う、だけど例えば目の前に苺のショートケーキと、チョコレートケーキがあるとする。どちらも美味しくて食べたい。 要するに、どちらを選んでもおかしくないということ。 リンの性格はアレだけど、No.1なだけあってルックスはかなりいい。可愛らしい顔立ち、パッチリとした目が特徴だ。色素が薄く、白く透き通るような肌、艶々した金髪はまさに天使そのものだった。 『天使』などと呼ばれているが、本当は『悪魔』の間違いだが。 悪魔の囁きにまんまと引っかからないように気をつけなければならない。 アリスは僕を選んでくれるよね…? 「僕と、さっき会ったリン、どっちがいい…?」 「え?いきなり何?」 突然訳の分からない質問をされて、困っているようだった。 迷いなく僕と答えてほしい。 白雪だと言ってくれ。

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