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第241話
「そりゃあ、白雪だよ」
そんなの当たり前だよ、と困ったように笑う。
安心した…けど、心のモヤモヤは晴れなかった。僕、ワガママだ。
「その子に何言われたのか知らないけど、俺が選ぶのは白雪だけだよ。この先もずっと、一緒に生きていきたいと思ってる」
「…うん、ありがとう」
へらっと笑って見せたが、たぶん上手く笑えていない。
そんな僕を見て、アリスは苦しそうな表情をしていた。
また困らせてしまった。
ごめんなさい。
お風呂に入る、と言ってリビングから逃げた。
1人でお風呂に浸かり、考えた。
本当に僕がアリスの側にいていいのか。
アリスのような天才と、まともな環境で育ってこなかった僕が釣り合うとも思えない。
僕がアリスの評価を下げている…?
そう思うと怖くなった。
「どうすれば…」
ポタポタと落ちた水滴が、水面に波紋を広げた。
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