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第244話
ベンチに座り、ボロボロと大粒の涙を零している僕の前に誰かが座り込んだ。
「やっぱりユキだ。 どうして泣いてるんだ?どこか痛いのか?」
声を掛けてきたのは、僕が働いていた風俗店の店長こと、みーくんだった。
「みー、くん…っ」
みーくんを見たらなんだかもっと涙が出てきてしまって、思わず抱きついた。みーくんの胸で泣いて、優しく背中を摩ってくれた。
ここでは何だからと、場所を移動し連れてこられたのは僕が働いていた風俗店。
懐かしいな… 店の雰囲気は全然変わっていなくて、なんだか懐かしく感じる。
とりあえず奥の空き部屋に案内され椅子に座ると、コーヒーの入ったマグカップが机に置かれた。
みーくんの入れたコーヒーを飲むのは何年ぶりだろうか。
「で?どうしたんだ?あんな街中でボロ泣きしてるからビックリしたぞ」
「……あのさ、リンって…まだ働いてる…?」
「リン?働いてるけど…最近出勤してないなぁ。あいつの遊び癖、どうにかならないもんかねぇ」
「……」
ははっ、と笑いながらリンの話をするみーくん、僕は全然笑えない。
みーくんは察したのか、苦笑して頭をポンポンと雑に叩かれた。これは彼なりに励ましてくれているのだ。
雑くてちょっと痛いけれど、そんなところも変わっていない。
「リンに奪われたか?」
「ちがっ……くない……」
奪われてない!
と言い返そうと思ったが、奪われたも同然だ。
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