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第245話
「神楽坂さんは、リンを選んだのか?」
「わかんない、でも…リンがアリスを狙っているのは本当」
アリスは僕を選ぶと言ってくれたが、リンがあの手この手でアリスを自分のものにするだろう。
もう、どうしたらいいのか分からない。
また涙が出てきて、みーくんがハンカチで目元を拭ってくれた。
背中をサスサスと摩られ、「ゆっくりでいいから話してみな」と優しく笑ってくれた。
僕はゆっくりと深呼吸して、リンに言われた事を話した。
みーくんは話を聞き終わると、はぁ、と深いため息を付き、眉をひそめて苦しそうな顔をしていた。
こんな話聞きたくなかったよね…
「みーくん、ごめ…」
「辛かったな、ユキ。 リンの奴許せないな」
「…え?」
こんな話聞きたくなくて、苦しそうな顔をしていたんじゃないのか。
なんで自分の事みたいに真剣になってくれるんだ。
みーくんは僕じゃないのに…
「ばか、大切な俺の可愛い可愛い一人息子だぞ?心配にもなる」
「息子って…血は繋がってないのに…?」
「当たり前だ」
にかっと笑ったみーくんの笑顔が眩しかった。
ありがとう…みーくん…
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