247 / 267

第248話

家に帰ると、白雪はいなかった。 出掛けているのか? いや、出掛ける時はいつも俺に一言いってから出掛けているのに…。 おかしいと思いながらも、近くのスーパーやコンビニに行っているのかもと思い暫く待つ事にした。 しかし、一向に帰ってくる気配はない。あれから既に一時間は経過している。 何処に行っている? もしかして事故とか? 連れ去られたりとか… 最悪な出来事ばかり浮かんでしまい、心配になって探しに行こうとすると、不意にスマホが鳴った。 白雪か?!と思い画面を見たが、知らない番号からだ。 「はい…」 『あ、神楽坂さん。お久しぶりです、私ユキが元働いていた店の店長です』 「あぁ! お久しぶりです。 白雪、そちらに居るんですよね?」 『はい、その事で。大変申し上げにくいのですが…もうユキに会わないでもらえますか』 ……は? 店長さんの言っていることが理解できない。 なぜ急にそんな事を?それは白雪も望んでいることなのか? とにかく、本人と会って話がしたい。 「それは無理です。今からそちらに向かいます。絶対に白雪を逃がさないでください」 『…ほら、言ったろ……浮気じゃねーって…』 少し聞づらいが、店長さんが誰かとコソコソ喋っている声が聞こえた。 相手はきっと白雪だろう。 と言うか、浮気?俺が? ありえない。こんなに白雪のことが好きなのに、浮気なんてする訳ない。 毎晩愛してやっていたつもりだったが、どうやら足りなかったらしい。

ともだちにシェアしよう!