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第250話
「なんで凛が出てくるの?」
「とぼけるな」
ダメだ、白雪かなり怒ってる…。
いつも穏和な白雪が怒りを露わにするなんてとても珍しいことだ。
それだけ俺が怒らせたんだな…。
「本当に、凛とは何もないよ」
「嘘つけ。僕みたいな根暗より、凛みたいな可愛くて明るい子の方が良いんでしょ」
「そんな事思ってないよ。白雪面白いし、可愛いよ」
「お世辞はいい」
本心だけども。
白雪は特に自信喪失してしまっているみたいで、やけに自己評価が低い。
いつも自己評価は低かったが、いつも以上に酷いな。
「ユキ、神楽坂さんが浮気するなんて有り得ない。こんなにユキの事を大切にしてくれているんだぞ?自分でも分かってるだろ」
「……分かってる。でもさ、…凛とジュエリーショップに入って行ったんだよ? …もう、信じられないじゃん…」
……あ!あの時の事か!見られてたのか。面倒な事になってしまったな。
俺の言い分聞いてくれるといいんだけど…。
「それは誤解なんだ… 理由話すから、ドアを開けてくれる?」
そう言うと、鍵を開ける音が聞こえた。
中を覗くとタオルケットに身を包んだ白雪がソファに座っていた。
見事に顔が見えない。と言うか、ぐるぐる巻きにし過ぎじゃないか?後で取るの大変そう。
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