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第253話
*
「白雪、起きた?」
「アリス…ごめん…」
寝室のドアを開けて入ってきたアリスの顔を見て、胸が痛んだ。
俺のせいで迷惑掛けてしまった、振り回してしまった。仕事で疲れているのに、僕の為に…。
申し訳なくて、真っ先に謝った。
「それはプロポーズの返事?」
「プロポーズ… って夢じゃないの…?」
「寝ぼけてる? 夢じゃないよ。信じられないなら、もう一度言おうか?」
「また倒れそうだから大丈夫…」
それにしても、本当に夢じゃなかったのか。
あの時頭が真っ白になって、倒れてしまったから記憶が曖昧だ。
返事、返さないと…。でも、どう言えば良いんだろう…。
「慌てなくていいから、白雪の気持ち聞かせて」
「うん…。あのね、僕…アリスと結婚したい。 でも、僕は男だし、世間では祝ってもらえないし…。もしこの事が知れ渡ったらアリスの未来を潰すんじゃないかって…不安で…」
「…うん、ありがとう」
少し涙目になっている僕の目を、親指で優しく拭ってくれる。
それから強く抱きしめられ、触れるだけのキスをされた。
「白雪なりに考えてくれてたんだね。嬉しい。 でも、大丈夫だよ。僕と白雪の関係を批判する人が居たら、呪いをかけるからね」
「呪いって…またまた…」
冗談なんだろうけど、アリスなら出来そうな気がする…。呪いをかけられる人がいない世界になればいいのに、それは難しいのだ。
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