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フェリー乗り場に着き、なんとかアリスを連れて乗り込めた。 「あれ…、もうこんな所まで来てるの?」 「うん。アリス半分寝てたから。でも寝てたのにちゃんと歩いてくれたし、僕道わかんなかったけど案内もしてくれたよ」 「え、俺すげぇ…我ながら天才だと思う」 フェリーの中で、椅子に座っているとアリスが目覚めた。 これはちゃんと起きてるアリスだ。 さっきまでは寝てるアリスだった。 「別荘ってどこにあるの?」 「離島なんだ。 だから俺たちしかいないの」 「無人島生活みたいな?」 「うーん…、あれよりはまだマシかな」 そうなんだ。テレビでみた無人島生活みたいなのじゃなくて良かった。 僕魚取りに海に潜れないし、泥だらけになって山に山菜採りなんて行けないもん。どっちにしろ力尽きてそのまま天国に旅立つ事になってしまう。 「着いたら寝る?先にご飯食べる?」 「俺は白雪が食べたい」 「白雪は食べ物じゃありません。僕は疲れたから寝たいな」 「じゃあ寝よう」 あれ、寝てもいいのか。珍しいな。 いつもこの流れなら絶対に譲らないのに。 アリスも疲れてるもんね。わざわざ別荘にまで行ってする事じゃないし。 「泳ぎたいな…」 「明日ね。今日は泳ぐ元気ないや」 泳いだことないけど、泳げるのかな?溺れたら怖いな。 でもその為に浮き輪を持ってきているのだ。 明日が楽しみだな。

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