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第27話
早足で病室を出て行ったユキちゃんを必死に止めようとしたのに、振り向いてもくれなかった。
あんな泣きそうな顔されたらほっとけない。
それに、『すべて僕が悪い』という口ぶりに腹が立った。
ユキちゃんが悪い訳じゃない。
一方的に終わりを告げられるなんて納得できない。
「あー、くそっ!完全に治ったら捕まえて快楽攻めにしてやる...!」
「何言ってんだよキモ」
「チッ、お前かよ」
入ってきたのは俺の右腕。
秘書の成宮だった。
「なんだよ感じ悪りぃな。書類のチェック済んだのかよ」
「やったよ、判子も押してる」
「あそ、じゃあ書類貰ったし仕事戻るわ。無理すんなよ」
金髪オールバックで借金の取り立て見たいなカッコしててもきちんと仕事はしてくれる。
人を見かけによらないな。
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