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第2話 - 11*
「うわっ」
ベッドの柔らかい感触が僕の背中を受け止めた。痛くはないが、心臓は恐怖に早鐘を打っている。ベッドの上でこの状態、やることと言ったら一つしかない。拘束された手でYシャツの裾を引っ張っても、熱を持つそこは隠しきれなかった。鈴木は僕の足元に腰を下ろす。
「手は頭の上にして、足開け」
「え、えっ……や、やだ……」
「やじゃねぇだろ、副会長は淫乱だって言い触らすぞ」
言い触らす、それもまた魔法の言葉のようだ。それを言われると逆らえず、身体が勝手に従ってしまう。こんなことになるなら、鈴木に対等など求めるんじゃなかった。うるさく跳ね回る心臓の音を自分で聞きながら、僕はゆっくりと足を開く。だが、手はなかなか上げられなかった。
「手は?」
「い、まから……!」
僕の答えに、鈴木がからかうように目を細める。僕は覚悟を決めるべく一つ息を吸い込んで、拘束された手を挙げた。すると、Yシャツで隠していたそこがはっきりと顕になる。恥ずかしさに自身がぴくりと震えて、身体の温度が上がっていくのが判った。これ程恥ずかしい格好を、僕は生涯のうちにしたことがない。
「す、鈴木これ、恥ずかしい……」
「今更?」
「ひゃ! んん!」
鈴木は開いた足の間に身体を滑り込ませて、再び僕の後孔に指を沈ませた。入口は解れたのか、そこはあっさりと指を受け入れる。鈴木は見つけた一点をすぐに探し出して、さっきよりも強く押し上げた。
「あっ、ん、んん!」
ぐっ、ぐっ、と押し上げられて、無意識のうちに声が漏れる。すごく気持ちがいいというわけではないけれど、なにも感じない訳ではなかった。引っ掻くように刺激されれば、そこからぐちゅ、といやらしい音が鳴る。
「とろとろ」
「ん、おと、やぁ、んん……ッ!」
鈴木はわざと音が鳴るように、そこを何度も引っ掻いた。その度にぞくぞくと中途半端な快感が生まれる。いやらしいことをしている雰囲気でか、いつの間にか僕の先端は先走りで濡れていた。
「斉藤、えろいな」
名前を呼ばれて、その声にぞっとした。鈴木も興奮しているのか、いつもより少し高い声。それが先輩に似ていると思った瞬間、僕の後ろは鈴木の指を締め付けた。先輩のことを考えてしまうと、僕の身体は途端に敏感になる。
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