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第2話 - 12*
「ふぁっ、あぁっ、んあぁっ!」
「今ので感じた?」
ぶんぶんと首を振るが、指を二本に増やして擦られると今までより気持ちがよかった。きつく目を閉じれば閉じるほど、膝や太股を掠める黒髪を意識してしまう。ベッドからは鈴木の匂いがするのに、目を開こうが閉じようがこの髪のせいで僕の頭は先輩のことを考えてしまうのだ。
「んんんっ、んあ、あ、ふああぁあ……っ!」
先輩。先輩先輩。目を開けば映る黒髪に、この前のような甘い快感がぞくぞくと腰の辺りから背筋を駆け抜けた。びくびくと身体が震えて、腰が勝手に浮き上がる。僕が後ろに慣れたと考えたのか、鈴木は更に指を増やしてそこをぐりぐりと刺激した。
「広がるもんだな、ここ」
「んんぁあッ、んっ、ひゃ、ぁん!」
「判る? ここ、指三本も入ってンの」
その問い掛けに、無意識のうちに何度も頷いていた。さっきまでなにも感じなかったはずなのに、先輩にされていると考えただけで後ろから甘い快感が広がっていく。痛いほど昂った自身が鈴木の腕に擦れる度に、その快感が増した。触りたい。なのに、手は自由が利かない。そんな僕を嘲笑うように、ベルトの金具がかちゃかちゃと音を立てるだけだ。
「ん、んんんぅぅ……んあぁあっ!」
もどかしい。僕は腰を揺らして、鈴木の腕にそこを擦り付けていた。それでも絶頂するほどの快感は感じられず、不慣れな後ろは砂糖菓子のように甘い快楽がじんわりと広がるだけだ。もどかしい。ただただもどかしい。
「なにしてンの、これ」
そこを擦り付ける僕を諌めるように、鈴木はそれをきゅ、と握り込んだ。
「……あ! だめだめぇっ、んっ、ひぁっ、あ゛あぁああッ!」
期待していた刺激に、後ろの甘さが増幅した。目の前が弾けるような快感が走って、身体がびくびくと震える。心臓が一層強く脈打った。鈴木はそれに気付いたのか、僕を追い詰めるように後ろの気持ちいいところを押し上げる。その快楽は僕の理性を飛ばしていった。
「ひ、ん……っ、はぁっ! も、い、イかせ、あっ、んあぁあ!」
「よく聞こえねぇな」
「い、じわる……ぅ、んん……」
鈴木はぱっと僕自身から手を離す。それでも後ろの刺激はやめてくれないから、行き場のない熱が体の中に篭っているようだ。触って欲しい。イかせてほしい。懇願するように鈴木の目を見た瞬間、溢れ出た熱が一気に脳味噌を溶かした。それは、熱に揺らめく切れ長の瞳。熱に潤む、僕を欲しがる目。先輩に、そんな目を向けられたら!
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