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第1話 - 05*
「う、わっ」
その勢いに、僕は鈴木の腕の中へと倒れ込んだ。
鈴木の心臓の音さえ聞こえそうなほどの距離だ。触れ合う部分からじんわりと伝わる鈴木の熱に、嫌な汗がこめかみを伝う。離れようとするも、片腕を掴まれていてはたいした距離も取れなかった。
「は、なせ……って、鈴木!」
「お前さぁ、自分が何しようとしたか分かってんのか?」
そう不機嫌そうな声で呟かれ、思わず硬直してしまう。
鈴木からしてみれば、昼寝から目覚めたらいきなりクラスメイト、しかも男にキスされそうになっていたのだ。そんなこと、嫌だったに決まっている。
その事実に、さぁっと血の気が引いていく。謝らなければ、と鈴木を見れば、彼は器用に片手で僕のベルトを緩めていた。
「えっ!? なにしてんの!?」
「なにって、ナニ?」
「は!? ちょ、ちょっと待てって!」
「うるせぇ」
抵抗しようにも、僕は鈴木の腕の中だ。ろくな抵抗も出来ないまま、ベルトを引き抜かれる。僕の力では鈴木の拘束から逃れる事も出来ず、心許無いズボンのフロントはすぐに緩められてしまった。
先ほどとは違う恥ずかしさが、僕の顔を熱くする。すると鈴木は何を考えているのか、緩んだ隙間から僕の下着の中へと手を突っ込んだ。躊躇いなく僕の中心へと触れるその感触に、思わず身体がびくりと跳ねる。
「んっ、や、触るなってば……」
「ここ、俺にキスしようとして、こんなにしてるわけ?」
「えっ? あ……!」
言われて初めて、僕のそこが熱を持っていることに気が付いた。先輩とのキスは、僕が死ぬことと同じくらい何度も何度も夢に見てきたことだ。勘違いしていたとはいえ、こんなになってしまうのも僕からしたら仕方がない。
しかしそんな事情など鈴木が知るはずもないのだから、結果的に自分に抑情している気持ち悪い奴だと思うに違いない。鈴木は僕の先端を擦って、嘲笑のような声を漏らした。
「変態じゃねーの、ここびしょびしょだし」
「ちが、くて……すず、き……っ、んんっ」
耳元で囁く気だるそうな声が、僕の羞恥を煽る。誰にも触られたことのないそこを、鈴木は緩く握ってその手を上下させていた。その感触に思わず総毛立つ。
異常だ、逃げなければ。頭ではそう思うのに、弱いところを握られていては思うように力が入らない。先走りを掬われ鈴口を割られれば、自分のものではないような声が喉から漏れた。
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