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第1話 - 08*
「んあっ、あぁ! い、イく、あッ、んぁあぁあぁ!」
「どーぞ」
やる気のなさそうな鈴木の声。それがあまりに機械的なものだから、余計に僕の妄想を助長した。
先輩に抱きしめられて、先輩に擦られて、先輩の手の中に出す。
そう考えただけで頭がおかしくなりそうなほどの快楽が駆け抜け、堪らず身体が強ばった。服を掴んだままの手に痛いほど力が入る。
「い、イくぅ……ッ、っうぅぁ、ぁあッ、あ゛ぁっ、んああぁあぁッ!」
硬直に一瞬遅れて押し寄せた快感の波。足はがくがくと痙攣し、堪らずその手に白濁を吐き出した。しばらく収まらない精が、鈴木の手から溢れぽたぽたと屋上を汚す。
呼吸の仕方を忘れてしまったかのように息が詰まり、鈴木の胸に顔を埋めた。身体が震えるほどの余韻に、肩で息をしながら浸る。
「はぁ、はーっ、んんー……は……」
「そんなよかったのか、これ」
まるで諌めるようにぽんぽんと背中を叩かれ、そこで初めて我に返った。絶頂したことも手伝って、熱で浮かされた脳はさぁっと冷静になっていく。顔を埋めている鈴木の胸からは、先輩とは全然違う匂いがした。
先輩じゃなかったのに。先ほどの行為がまざまざと思い出され、あまりの恥ずかしさにかぁっと顔が熱くなる。弾かれたように鈴木から離れると、自分の乱れた衣服が目に入って、急いで身だしなみを整えた。
「す……すず、鈴木……」
「なに」
「ご、めん」
「いーよ、俺がやったんだし」
それだけ絞り出すように言ったが、鈴木はさして気にした風でもなさそうだった。それでもいたたまれない。
せめて汚した手を拭かなければとポケットに手を突っ込んだ所で、校舎に終業を告げる鐘の音が鳴り響いた。鈴木はその音を合図に立ち上がる。
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