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「何を考えているのですか?」  甘い微睡みから目覚めると、彼は肘で頭を支えて私を見ていた。さぞかしだらしない顔をしているだろう。その自覚がある。 「君は来世や前世を信じるかい?」 「聞いたことはありますが、考えたことは有りません」 「私は信じている。初めて食べる料理なのに懐かしいと感じたり、西洋の風景画を見て馴染みがあると驚く、そんなことがないかい?」 「そう言われてみれば、そんな気もします」 「きっと今の私はかつての私の記憶を封じ込めて別の人生を歩んでいる。でもきっとすべてが解き放たれる地があるはずだ。そして次の人生に向かって旅立つ」 「まだ世界があるということですか」 「ああ、幾重にも重なった人生を生き続ける。現世はその途中にすぎない。旅立ちのあと特別な地で自分に戻り、また違う人生に向かう。だからね、君と私はまた逢える」 「その「地」で?」 「ああ、きっとその場所に行けば名前がわかる。今の私にはただの「地」という単語しか思いつかないけれど、きっと素敵な名前に違いない」 「また……逢える?」 「そうだね、どちらかが迎えにいけばいい。ここが「地」だよ、素敵な名前があるから教えてあげるってね」  彼はクスクス笑った。 「そんな可愛いことを言う人だったのですね」 「可愛いかな?私がずっと信じてきたことなのに。そういえば人に初めて言ったよ。馬鹿にされそうで」  汗の引いた腕に引き寄せられ、彼の胸元に頬が触れた。 「あなたに会えて……よかった」 「ああ、私もだ」  意思をもった彼の手が中心に降りてくる。 「好きにしろと言ったのは私だ。幸いまだ夜が明けるまで時間がある」 「……あなたが好きです」 「ああ、君が愛おしい」  口づけがこれほど心を温めるとは……君のすべてが……愛おしい。

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